八月のクリスマス

Friday 4th August 2006 10:30
なん


image[八月のクリスマス]原題 Palwol Ui Christmas
1998年 韓国公開
上映時間 97分
監督 ホ・ジノ
出演 ハン・ソッキュ/シム・ウナ

お勧め度 image[★4つ半]

なんともせつない映画ではあった。ラストが心痛むというのだろうか。もうすぐ自分の命がなくなると知ったら人間はどうするか?後に残るものに対してや、残された仕事などの整理に当たるだろうか。

何の病気かわからないが、ジョンウォンは街の小さな写真屋で、いつもニコニコと笑顔を絶やさずに生きてきた。きっと心の中は張り裂けそうな思いがあっただろうに。それでも自分が天国に去ったあとに残される父親に、ビデオデッキの使い方を紙に書いたり、自分の遺影写真を撮ったり、うーんとても心が痛い。

私ももしあと一年くらいの命と知ったら、後に残るもの(今で言えば母だけど)のために、身辺整理はするだろうと思うけれど、そうする時の自分の気持ちは計り知れないものがあると思う。人間だから死への恐怖が皆無ということはないだろうし。

そんな中、写真屋に通う婦人警官のタリムとのたわいのないおしゃべりに、とても心穏やかな気持ちがわいてくる。せつないせつなすぎるな。この映画実に淡々と流れるんだ、盛り上がる恋心に派手なラブシーンというものは一切ない。ただあるのはジョンウォンの笑顔だけ。

私があまり好きではない部分は、タリムがちょっとヒステリックな気質だからかな。ちょっと自分勝手なことを押し付けすぎたり、窓ガラスを割ったりとかって言う行動があまり好きになれない。ただそのあたりを差し引いても、悲しいなぁと思う。あれでいいのだろうとは思うのだけど、ちょっと見終わったあと、心が痛くて仕方なかった。喫茶店の窓越しにタリムの姿を追うジョンウォンとか、思い切り感情移入してしまった。

普段の他愛もない日常の積み重ね、それが人生なんだっていうことにあらためて気づかされてしまう。それはいつか誰もが失うものだから、はかなく美しいんだって、そんな静かな印象のある秀作だった。

【Story】
ソウルで小さな写真館を経営しているジョンウォンは、余命わずかの独身青年。残された日々を明るく過ごしているが、そんなある日、店に婦人警官のタリムがやって来た。それから毎日のように訪れるタリムと他愛のないおしゃべりを楽しむジョンウォン。

[9] >>
comments (2)
trackbacks (0)


<< 閉ざされた森
奇妙なサーカス Strange Circus >>
[0] [top]


[Serene Bach 2.24R]