運動靴と赤い金魚

Category : 映画・DVD・ビデオ(ジャンル別) > ヒューマン・ファミリー・ドラマ

運動靴と赤い金魚
原題 Bacheha-Ye aseman
1997年 イラン公開
上映時間 88分
監督 マジット・マジティ
出演 ミル=ファロク・ハシェミアン/バハレ・セデキ

お勧め度 ★5つ

イランの映画なんてはじめて見た。それがさ、素朴で心が暖かくなる映画なんだよ。子供たちがとてもいい表情しているんだよね。これはいい映画だなぁって思った。

ものすごい貧乏だから、靴ひとつ買うのもままならない。そんな家の金銭的な事情をよく知っているふたりの兄妹。だからお兄ちゃんがなくしてしまった妹の靴を貰うために、兄はマラソンに出場するんだ。それで3等をとれば賞品として運動靴がもらえるから。それまではお兄ちゃんの一足の靴を交代で履いて学校に行くんだ。

この映画はつっこみどころは多数あるんだ。妹思いのお兄ちゃんなんだから、お父さんにしかられるかもしれないけれど、妹の靴をなくしてしまったって言う勇気を持てばいいのにとか。でもきっと貧乏に親に気をつかったんだよなとも思うのも半分あるんだけど。

靴がないので、妹がお兄ちゃんの靴をはいて先に学校に行って、帰ってきたらお兄ちゃんがその靴を今度ははいて学校に行く。お兄ちゃん妹が来るのが遅いと遅刻しちゃうんだ。だったら学校の前で待っていればすぐに履き替えて行けるのにと思ったり。

なんだけど、これがこの映画のいいところなんだろうなぁと思う。なんかほのぼのとしていて、忘れていたよこんな心って。一生懸命お手伝いして、でも勉強もしっかりして、兄妹とても仲がよくて、優しい子たちなんだよね。一足の靴をとても大切に使わないといけない。今の日本はというより、たぶんこういう心みんな失った世の中だと思う。これはぜひとも見てほしいと思う映画。

【STORY】
アリは修理した妹ザーラの靴を、買い物の途中で失くしてしまう。親にも言えず、兄の靴一足を二人で共有することにした。妹がアリの運動靴を履いて登校し、妹の学校が終わると、今度はアリが履いて登校する。そんなある日、マラソン大会の3等の賞品はなんと運動靴。アリは妹のために3等になろうと必死に走るのだった。

ここから先は完全ネタバレ注意、よろしければどうぞ
イランという国もお金持ちと貧乏の格差がものすごい国なんだ。お金もちは豪邸でこりゃまたすげーっていうような家に住んでいる。でもお金はあっても寂しい子供もいるっていうのが、ちょろっと出ていたり、貧しくとも皆で協力しあって、案外貧乏だけど幸せだったり。そのあたりはお金持ちの家に庭師として、お父さんとアリが行った家での出来事として描かれている。

そしてこれは大人から見た二人ではなく、子供からみた自分なんだよ。妹はお兄ちゃんの運動靴を借りて学校に行くんだ。一足しかないから。でもお兄ちゃんのだからぶかぶかだし、かっこ悪いんだ。誰も自分の靴なんて見ちゃいないのに、すごく恥ずかしく思って、こそこそしてしまったり。そういう気持ちって子供ころってすごくあると思うんだ。何でもないようなことがとても恥ずかしかったり。

本当は妹はお兄ちゃんが靴なくしたって親にいいつけることもできたんだろうけれど、お兄ちゃん思いなんだよね、じっと我慢してお兄ちゃんのぶかぶかの靴を履く。

また無くしたはずの妹の靴を履いている子を発見してしまうんだ。どうしてあの子が私の靴を履いてるの?って、帰りにあとをつけて家を発見するんだ。そこで兄と二人でその子の家に行くと、そこの家はお父さんの目が見えない。そんな家庭の事情を察すると、二人は何も言わずに家に帰るんだ。優しいよな。自分たちよりもたいへんだって察したんだと思う。

そしてマラソンのシーン。もう見ていて、頑張れ!もう少しだよって声かけたくなるんだ。微妙なのは3等をとらないといけないんだ。運動靴は3等の賞品だから。1等でも2等でもいけない。そして結果は、皆さんの目でたしかめてね。
Date : Saturday 24th September 2005 16:33
author : なん :: comments (4) :: trackbacks (0)

comments

AOI | Wed 08/02/2006 17:41
良い映画でしたよ。なんさん お勧めだけのことはある。(^^)3つ好きなシーンがある。運動靴を洗っている時のしゃぼんだまのシーン。マラソンで1等賞になって カメラマンが写真を取るシーン。涙が溢れてて グッときた。そして ラスト。マラソンで傷ついた足を 水に浸すシーン。切なかったよ。前が見えないほど 涙涙。ずーっと 記憶に残る名画だと思う。
なん | Fri 10/02/2006 19:54
AOIさん、こんばんは。

この映画ご覧になったんですね。凄くいい話ですよね。素朴でなんか忘れていたものを思い出させてくれる映画だと思っています。イランにこんな素敵な映画があったなんて、掘り出し物でした。
kana | Sun 12/02/2006 13:34
久々に心が潤いました。素晴らしい作品だと思います。
これは自分への戒めとしても手元に置いておきたい映画の一つです。

こういった種の喜び/幸せを現代人が感じることは難しいですね。
戦直後の日本もこんな感じだったんでしょうね。

マラソン大会では思わずアリを応援してしまいました(笑)。

「海水と富は飲むほどに乾く」と、ホリエモンに関する記事に書かれていました。
彼こそこの作品を見るべきですね。

良い作品を勧めてくださってありがとうございます。
イランのお国事情も知ることができ、大変勉強になりました。
なん | Sun 12/02/2006 21:12
kanaさん、こんばんは。

kanaさんもご覧になったんですね。とてもいい映画でしょう?私もこの映画は買いたいと思うような作品なんですよね。昔の日本はこういう幸せってあったでしょうね。でも今はないと言える。

でもこの映画を見ることで、本当の幸せってなんだろうって考えさせてくれる話だと思いました。いろんな人に見てもらいたいなぁと思っていたので、うれしいです。

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