破線のマリス
Category : 映画・DVD・ビデオ(ジャンル別) > 日本映画

2000年 劇場公開
日本制作
上映時間 108分
監督 井坂聡
出演 黒木瞳/陣内孝則
お勧め度

今やテレビのやらせ問題とか捏造とかは当たり前のように起こるけれど、この映画はそんなテレビの世界での話し。番組は編集という作業がある。それの操作によっては、無実の人であっても犯人っぽく演出させることは朝飯前である。
瑶子はテレビの編集をやっているが、視聴率をとる映像をつくり上げるうではピカイチだ。例えそれが無実の人間が犯人に疑われようとも関係ないという、とーっても嫌な女だ。おかげで陣内演じる麻生があたかも犯人ととられても不思議ではない映像になってしまう。怒った麻生は瑶子にストーカーのようにつきまとう。
麻生は確かにかわいそうだと思う。とある事件で自殺した弁護士のあとをつける不審な男。さらに事情聴取から出てきて、にやりと不適な笑いを浮かべる男。そんなふうな印象を与えるように編集されちゃうんだよね。
たまたま自分の子供と同じくらいの年の女の子がそばにいたから、にこっと笑ったら、それが編集によって、女の子の姿は映らないようにして、いかにも不敵な笑いを浮かべる犯人みたいになっちゃうんだもん。
だけどさそこまでされたなら、名誉毀損とか何かで訴えればいいのに、なぜか瑶子のストーカーみたいになるんだよね。確かに瑶子は嫌な女。だけど麻生もそうとう嫌な男になっている。なのでなんだか肝心の主人公らに好感がもてないんだよね。
ネタバレ→(麻生は瑶子によって、いかにも犯人みたいにテレビに映されたことで、人生をめちゃくちゃにされ、それで結局瑶子と麻生は最後にもみ合いになって、誤って瑶子は麻生を殺してしまうんだよね。それをたまたま撮影されていて、今度は瑶子が犯人としてテレビに映る。そして自分が情報操作したように、瑶子もたまたま逮捕の時に自分の子供の姿が見えて、それに向かって笑いかけたら、その笑顔がテレビに映る。皮肉なもんだ。)
報道の世界って、真実ばかりではなく、誘導というものが存在している。なので我々も見ているものがすべてと思っていると、とんでもないことになる。マスコミの情報操作に踊らされる我々に対しても警告を投げかけていると言える。
ある意味因果応報のドラマでもあるけどね。うまい作りだなぁとは思うのだけど、なんというかあまりかわいそうだなとかっていう感情がわかず、同情ができないので、後味はよろしくない。それに不法侵入やらストーカーやら、ちょっといくらなんでも極端じゃないか?っていう出来事が多く、とてもいい題材なのに、なんだか消化不良で終わってしまったような気がする。
【Story】
独自の切り口で『事件検証』という小さなコーナーを作り、高視聴率を上げていた編集ウーマン、遠藤瑤子は番組の編集をやっている。ある日彼女のもとに郵政省の贈収賄事件による殺人疑惑の内部告発テープがもちこまれる。彼女はテープをもとに事件を検証する番組を作ることになる。
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