隠された記憶
Category : 映画・DVD・ビデオ(ジャンル別) > サスペンス・ミステリー・スリラー

2005年 劇場公開
フランス・オーストリア・ドイツ・イタリア 制作
上映時間 119分
映倫 PG-12
監督 ミヒャエル・ハネケ
出演 ダニエル・オートゥイユ・ジュリエット・ビノシュ
お勧め度

なんとも感想の書きにくい映画だった。というのも前半がだるい。ある日自宅の玄関を写したビデオテープが送られてきた。というのが冒頭なんだけど、カメラが固定されて、延々と通りの向こうあたりからアパートみたいな建物の様子が映っていて、それがビデオテープの映像を現しているとわかるまで、いったい何なんだとわけがわからなかった。
それとこの映画音楽がないのだ。だからビデオテープの映像の場面だと退屈なんだよね。せりふも入らないんだよ。だからなおのことじれったくなる。
見知らぬ人からのビデオテープというと、私はリンチの『ロスト・ハイウェイ』が思い出されるが、一緒なのはそこまでで、リンチの作品ほど難解ではない。だが難解ではないが、何が言いたいのかと問われると、疑問符が残るみたいな作品だった。つまりこの謎のビデオテープの送り主は最後まで明確ではないところに消化不良が残るのだ。想像すればあいつなのか?とかこじつけはできるが、それでもじゃあ何のためにとなると、やっぱり?マークが頭に浮かぶ。
ある意味社会問題も提起している部分もある。フランスにおける移民の問題とか、そこでの差別の問題が絡んでくる。このあたりがピンとこない日本人の私としては、やっぱりよくわからないのである。なんていうのか居心地の悪い映画なんだな。落ち着かないというか。だから面白いんだかそうでないんだかわかんない。
ネタバレ→(ジョルジュは子供のころに、マジッドに対してしたことに後悔の念がある。ジョルジュの両親はマジッドを養子に迎えようとしていたが、それが嫌だったジョルジュは嘘をついて、マジッドは悪い子だというのを両親に吹き込む。それによりマジッドは養子にはなれず施設に送られてしまう。
それでジョルジュはこのときの復讐にマジッドがこんなビデオテープを送ってくるのだと思い込むんだ。富めるものがそうでないものに対する、高みから見たような考えだ。マジッドは断じて自分ではないと言うが、ジョルジュは信用しない。そしてラスト、突然あてつけのように、マジッドはジョルジュを呼び出して、目の前で首を切って自殺するんだ。これにはひいた。では誰が何のためにあのビデオを?となると、ジョルジュの息子のピエロとマジッドの息子が関係してそうな雰囲気ではある。二人は知り合いみたいな場面がラストに流れるし。)
この話は動機が不明。何のためにというのが恐ろしく欠落しているように思う。だからすっきりしないのだ。推測の域をこえないのでもやもやが残る。見終わったあと大田胃散でも飲みたくなった。
【Story】
ジョルジュは妻のアンと息子のピエロと幸せな生活を送っていた。そんなある日、送り主不明のビデオテープが届く。そこにはジョルジュの家を正面から隠し撮りした映像が映っていた。次第に恐怖が高まってゆく中、ジョルジュは少年時代の記憶が思い出されていく。
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