トゥモロー・ワールド
Category : 映画・DVD・ビデオ(ジャンル別) > SF

2006年 劇場公開
アメリカ制作
上映時間 109分
監督 アルフォンソ・キュアロン
出演 クライヴ・オーウェン/ジュリアン・ムーア
お勧め度

この前見た『アンビリーバブル』と比べると、この映画の近未来はありえそうで、とても重いものを感じた。2027年の世界の話。なんとこのころには世界中で子供が生まれなくなってしまっていたのだ。世界で一番若い人間が、18歳というとんでもない世の中になってしまっていたのだ。少子化が進んでいくと最後はこんなことになりそうだし、それにインフルエンザとかで子供が大量に死んで、こういう事態になってしまったらしい。
そんな世の中は荒れ果てていて、各地で戦闘は繰り返されていた。新しい生命が誕生しない今、殺しあえばいずれは人類滅亡だよ。でも人間という生き物は、どんな世界になっても殺し合いはやめられないもんなんだなぁ。子供のいない世界というのは、とても殺伐としていて、子供に託す希望の光が全くないということは、こんな世界になってしまうのだという恐怖をよく表している。
この子供のいない世界に、ただ一人妊娠している黒人の女の子がいて、この子をヒューマンプロジェクトという組織に渡すために、この子とおなかの子を守るがごとく、セオがひたすら戦うのだ。だけど人類にやっと18年ぶりに新しい命が誕生したのだから、世界を挙げて守らないのか?そのヒューマンプロジェクトという組織がどんなものなのかがよくわかんなかったのだよね。そこいらがちょっと感情移入の妨げになっている。
だけど銃撃戦とかはかなりすごいものがある。カメラに血吹雪が飛んでいるにもかかわらず、それをまわし続けているところなんか、本物の戦場でのシーンさながらの演出だし、かなりリアルだ。
ネタバレ→(ラストのそんな中、新しい命の声を聞いた戦士達が一瞬攻撃をやめるシーンがあるのだけど、この場面がこの映画のすべてを語っているのかなぁと思う。子供は偉大だ。命というものはすべてこのシーンで語っている。戦士やテロリストたちの赤ん坊を見る目が違うんだもん。それでもそれは一瞬の出来事で、また銃撃戦を繰り返す人間たち。愚かだ、愚か過ぎるが、それが現実なんだろう。
なんとかテオはキーとその赤ちゃんを守りぬき、ヒューマンプロジェクトに引き渡す船に二人を乗せたと思ったら、セオは死んじゃうんだよね。さっきの銃撃戦で打たれたのだった。悲しくてせつない話だった。)
この映画はある意味SFというジャンルの戦争映画でもあり、人類への警告でもある。油断してみていたら、涙がどーっと出てきた。まさか泣くとは思っていなかったから自分でもびっくり。これから先への人類の絶望と、そしてわずかな期待を込めてこの映画は終わる。
【Story】
人類に最後の子供が誕生してから18年が経過した2027年。希望のない世界には暴力と無秩序が際限なく拡がっていた。イギリスの官僚セオは、元妻ジュリアンから、ある移民の少女を、ヒューマン・プロジェクトという組織に引き渡すために必要な通行証を手に入れてほしいと言われる。最初は拒否したものの、結局はジュリアンに協力するセオだった。
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