消えた天使
Category : 映画・DVD・ビデオ(ジャンル別) > サスペンス・ミステリー・スリラー

2007 劇場公開
アメリカ制作
上映時間105
映倫 R-15
監督 アンドリュー・ラウ
出演 リチャード・ギア/クレア・デインズ
お勧め度

『インファナル・アフェア』の監督アンドリュー・ラウがハリウッド映画に進出し、それの第一弾というのがこの作品です。私この手の作品好きです。この作品ノワールものではありませんが、テーマは重いです。
最近は日本でもそうですが、アメリカでは性犯罪や子供の誘拐が多発しています。そして一度そういう犯罪に手を染めたものの再犯率はかなり高く、アメリカでは性犯罪者の登録と情報公開を義務づけたメーガン法という制度を持ちます。なので元犯罪者は今どこにいて、そしてどこに住んでいるなどの情報が、一般市民にわかるようになっています。日本もメーガン法をという話もあるみたいですが、実現するには時間がかかるでしょうね。なんたって日本は犯罪者の人権の方が守られている社会ですし。
この映画は、そういった犯罪者がちゃんと生活しているのか、巡回し監視するという仕事をしているのが、リチャード・ギア演じるエロル・バベッジです。彼は正義感が強く、ちょっといき過ぎな部分もあり、あと18日で退職させられることになりました。その後釜の引継ぎとしてやってきたのが、クレア・デインズ演じる新人のアリスンです。
バベッジはアリスンを引き連れて、犯罪者の家を訪問します。そんなときに新たに若い娘がいなくなる事件が発生し、バベッジは絶対に犯人は、この監視対象者リストの中にいると確信し、犯人を絞りこむために執拗に訪問を繰り返します。
バベッジは監視対象者を絶対に信用していません、たぶん更生という言葉は信じていないのでしょう。この映画に出てくる、怪物を捕まえるものは自分も怪物にならないようにしないといけないという部分があります。これはしかりであり、あまりに狂気と接していると、自分も狂人になる恐れを人間というものは持ち合わせています。
この監視員という仕事の厳しさ、自分を保ちながら任務をまっとうする辛さ、そして自分の仕事の努力に対して再犯率の多さに対する絶望さ、ものすごいジレンマが毎日渦巻いていると思います。そしてそんな元犯罪者に対して、時にそれの度が過ぎるようなことまでしてしまいます。元犯罪者の人権侵害という領域まで踏み込みます。本当に自分は正義のためにしているのか、自分の中にも犯罪者たちのそれと同じような快楽的な暴力性が宿ってしまっているのか、その葛藤を実によくリチャード・ギアは演じていると思いました。
そんな彼をセーブできるのはアリスンであるということです。バベッジのしていることはほめられませんし、でも彼のそうしたくなる気持ちもわからないでもなく、憎むべき犯罪者のあの狂気は、もう誰にも止められのではというような無力感を映画を見つつ味わう様は、結構きついものがありますが、犯人は誰なのか、被害者は無事なのか、そのあたりの着地点は目新しいものはありません。しかし私は深く考えさせられる作品だと思いました。ということで、結構この映画私にとってポイント高いです。
でも目を背けたくなるような犯罪のシーンもときに出てくるので、心臓の弱い方はやめたほうがいいかもしれません。一応映倫でもR-15指定ですしね。
【Story】
性犯罪登録者の監視員を続けてきた公共安全局のエロル・バベッジはあと18日で退職を控えていた。後任となるアリスン・ラウリーの指導を任されることになる。2人で担当地域を巡回する中で、若い女性が行方不明になったとの情報が入る。バベッジだけは監視リストの登録者の中に犯人がいると確信し、アリスンと共に犯人の追跡を開始する。
comments