

原題 同じ月を見ている
2005年 日本公開
上映時間 106分
監督 深作健太
出演 窪塚洋介/黒木メイサ
お勧め度
この映画は久保田利伸の曲が気に入って、ぜひ見てみようと思った作品。正直窪塚君はあまり好きではない。というのもなんだかどこまでいっても俺、窪塚っていうイメージで、その作品のカラーが生きてこない気がして。でもこの映画の窪塚君、あの事件で毒気が抜けたのか、結構いいじゃんって思った。
だけどこの話、ちゃんと作ったらとってもいい話なのに、なぜか中途半端で実にもったいない。どれもこれも無理やりつじつま合わせてくっつけた感じがして、欲求不満が残ってしまった。
でもエディソン・チャンが演じるドンちゃんがすばらしい人間性で、そのために泣けたといったらいいのだろうか。窪塚君主演というより、これはどうみてもドンちゃん主役だよなって思った。
最初は窪塚君がドンちゃん役を演じるはずだったらしいが、あのキャストで正解だと思った。ドンちゃんはエディソン・チャン、そして窪塚君は熊川という男でぴったりだとも思う。さらにこの映画のツボはなぜか山本太郎さんよ、あの人がいたから締まったのであって、これだけ俳優そろえたのに、いまいちな作品になったのは、やっぱり監督さんのせい?
ドンちゃんはとても心優しい、神様みたいな人間なんだ、放火の罪をかぶって刑務所にまで行くし、エミのことを大切に思っていても、決して自分の気持ちは押し付けない、いつも優しくそう月のように見守っている。かたや鉄矢はそんなドンちゃんにイライラするし嫉妬する。もっとずるくなれよって、自分の心のずるさや汚さを見せ付けられて、自分で自分をコントロールできなくなっている。それにしてもドンちゃんの純粋さには心打たれるのよね。涙ぼろぼろなのよ。でもこの映画の泣きどころと違うところで泣けるのは、やっぱり脚本が…。
二人がいい意味で対比として描かれているんだけど、ラストがいただけない。なんか早く話しをまとめなくてはって感じの展開で、そりゃあないだろうってことが満載になってしまった。
ネタバレ→(
ドンちゃんが最後は死んでしまうんだけど、放火犯の子供のために心臓移植のドナーになってしまう。それもドンちゃん本人の意思も家族の意思も聞かぬままというか、確認もとれないのに、そんなんで移植できんのかよとつっこみたくなった。さらに窪塚演じる鉄矢は、ドンちゃんがかばってはくれたけれど、本当の意味でエミの家が火事になってしまったのは、鉄矢のつけた火のせいであるのに、なぜにエミはその事実を知ってもなお、鉄矢に寄り添っているのか?許せるのか?さらによく考えると、エミが大切な絵が家の中にあるから取りに行くなどと我侭をいわなければ、父は炎の中家の中に戻り、結局死んでしまうという結果などにはならなかったわけで、エミは火をつけたものを憎んでいるが、実際に父の焼死の原因を作った一部は自分の言動にあるということを、お前は忘れていないか?またドンちゃんの脱走の理由が、結婚するエミと鉄矢のために、絵を届けるって、もうすぐ釈放されるときに、そんなどうでもいい理由で脱走するっていう真理がわかんない。)というような、おや?と思う場面が多々あるのがとっても気になる作品だった。
それでもエディソン・チャンは男前だし、ドンちゃんの心の美しさと、久保田の歌がとってもよかったので、ポイントは上がる。いえね、私はこの映画決して嫌いじゃないのよ。どっちかというと好きなのに、もったいないと思う部分が多すぎて、そういう意味で悔しいのだ。
【Story】
恋人であるエミの心臓病を自らの手で治したいと医者になった鉄矢。ある日エミと鉄矢の幼なじみのドンが、刑務所を脱走したという知らせが届く。ドンはエミの父の命を奪った山火事の犯人として服役していた。ドンの脱走の知らせに、鉄矢は激しく動揺するのだった。
Date : Tuesday 27th June 2006
12:57
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なん ::
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