地下鉄(メトロ)に乗って
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2006年 劇場公開
日本制作
上映時間121分
監督 篠原哲雄
出演 堤真一/岡本綾
お勧め度

この映画私にとっては比較的楽しめました。といってもつっこみどころはそれなりにあると言えばあります。最初地下鉄を降りたら、そこは昭和の時代だったというもので、すべてそういった形でタイムスリップするのかと思っていたら、そうでもなくベッドに寝転んでいたらという場合もあり、地下鉄である事にあまり意味はないみたいなんですよ。
タイムスリップして過去を変えようとするんだけどうまくいかなかったり、変えてしまったことでその後の自分の人生が変わっていったり。自分のこと以外にも、自分の父や母の若いころ、自分が生まれる前の親のことがとてもよく描かれているんですが、どちらかというと父親の裏の部分というか、そちらが色濃く現われていました。
真次は同じ会社のみち子と不倫しているのですが、彼女の存在がなぜかとても希薄なんですね。映画の流れから行くと、みち子って重要なかかわりをもっていると思うのですが、なんだかとてもさらりとしていて、透明人間のような感じ。よくよく考えると、彼女の存在や彼女の思い、それがあまりにもあっさりとしている。そんなんでいいのか?と思ってしまいました。
あまり書くとネタバレなんですが、これは真次の父親と父の愛する人との話であり、それに父の子である真次が、過去にタイムスリップすることで、父の本当の気持ちやそして自分の知らなかった父の思い、そして今までの自分の人生を振り返るというのがポイントなんだと思うのですが、なーんだか皆がみんながあっさりモードで、そこがぐぐーっと入り込めない理由のような気がします。
とはいうものの、そんなにつまらないわけではないのです。だからもう少し味付け変えれば、もっとおいしくなったのにという残念賞なんですね。盛り上がりに欠けるというのでしょうか。岡本綾さんってどうにもみち子役にあっていないような気がするのは私だけでしょうか。だって岡本さん演じるみち子の狂おしいせつない思いがあの物語の軸になるのに、あまりにもお茶漬けさらさらって感じなんですもの。
と書きながらも、なんていうのかこういう映画は嫌いじゃないので、惜しい実に惜しいといった気持ちがあります。『Always 三丁目の夕日』とは全く違った雰囲気ですが、昭和39年の東京を味わうにはいいかもしれません。
【Story】
真次は父が倒れたという連絡を弟から受ける。父とは家を出て以来一度も会っていなかった。そしてその日は兄の命日でもある。そんなことを考えながら地下鉄の地下道を歩いていると、兄に似た人を見て追いかける。そのまま地下鉄を出ると、そこは東京オリンピックを目前にした昭和39年だった。